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手塚治虫・ドクターキリコと安楽死の問いかけ

手塚治虫さんの『ガラスの地球を救え』というエッセイに、
今までのマンガをどういう気持ちで書いてきたかが書いてあります。

アトムが一番有名でしょうが、次に人気が高いのがブラック・ジャック。
これは訳があって、医者の免許を持っていないが、
天才的な腕前を持つブラック・ジャックにまつわる物語。

この中にドクター・キリコという男が出てくる。
この男は安楽死専門の医者。
ブラック・ジャックと激しく対立する。
ブラック・ジャックは何とか命を延ばそうと全力を尽くす。
何年も昏睡状態が続いている男を何とか助けようとする。
ところが手術が成功したとたん、その男は見る見る年老いて死んでしまった。
その時最後に、何で目を覚まさせたのだ、と言って死んでいった。

また、懸命に命を助けた相手が死刑囚。
事故で死にかけたところをやっとの思いで助けたのだが、
すぐに死刑の判決がくだり殺されてしまった。

ブラック・ジャックは天に向かって、
医者は何のためにあるのだ!
と叫ぶシーンもあります。

医学は命を一分、一秒でも延ばそうと躍起になっていますが、
命延びたために余計に苦しむことがある。

そうした場合医学は苦しめるためのものになってしまうのでしょうか?

実際、日本の医学のすべてを結集させ、治療がとても困難な難病を治したことがあった。
その時、なおった人にインタビューで、これから何がしたいですか
と尋ねたら、
「ビールのみながら、野球観戦でもしますわ」
と答えた。
これを聞いて手術した医者はガックリきた。

日本の最新医学技術は、ビールを飲むためのものだったのか、
野球を見るためのものだったのだろうかと。
よく「人命は地球より重い」といわれ、皆そうだと思います。

確かにその通りなんですが、ではなぜ命は地球より重いといえるのか。
ビール飲むだけの人生が地球より重いでしょうか?
「尊い命」「かけがえのない命」といわれますが、本当にそのことが分かって
いる人がどれだけいるのでしょうか?
命を延ばすためのは何のためか、生きる目的が明らかにならないと、どんなに
医学技術が進歩しても、いわゆる手段がすぐれていても、
幸せにはなれないってことの一例ではないでしょうか。



by sakyamuni | 2020-10-21 13:00 | 生きる意味