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臨終に起きるスピリチュアル・ペインという苦しみ

実際に、自分自身に死が迫ってきたらどんな心が起きるでしょうか。

福井大学の医学部の授業で使われていた教科書では、
事例を通してケアを考えています。

これは有名な話ですが、臨終に起きる痛みを
4つの要素に分けて考えています。

ガンになった人の苦しみや
痛みに4つあります。

22歳女性。
体のあちこちにガンが転移しました。

お母さん45歳。
8年前に乳がん手術。
2年前に父親がガンで死亡。
余命3から6カ月。
本人には伝えられていません。
何に苦しんでいるでしょうか。

1番目は身体的な痛み、これは末期癌では当然のことです。

2番目精神的な痛み。
どうして私だけこんな目に。
治らないんだろうか。
この先どうなっていくのかと思います。

3番目は社会的な痛みです。
婚約者はどう思っているのか。
学校は。
治療費は。
家族や周りに対する痛みです。
近年まではこの3つを取り上げていたが、
ここ10年は、苦しみの根本的なものと言われています。

私は何のために生まれてきたのだろう。
生きる意味はあったのか。
今、なんのために生きるのか、迷惑かけるだけで、死んだ方がましではないか。
自分に存在意義(レゾンデートル)はあるのだろうか。
一言でいえば、自分の人生いったい何のためだったのか。
生きる意味がわからないことが苦しみとなります。


私は罪を犯したからこうなったのか。
死んだらどうなるのか。

元気なときは、死んだ後はないとか、
死んでみなきゃわからん。
死後の世界はどうでもいい、という人でも思います。
心の闇が見えてきます。

自分が死ぬとなったら、どうなるんだろう。
何をするために生まれてきたのだろう。
死を目の前にしたとき人生で一番大事なことが何かといういことに気づきます。
それを医学部が学んでいます。

これに気づきなさいよといっているのが西洋のメメント・モリであり、
仏教無常観です。



by sakyamuni | 2019-09-07 12:00 | 生きる意味