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トルストイ民話集『人はなんで生きるか』

トルストイの民話集に、『人はなんで生きるか』という作品があります。
トルストイはたくさんの民話を集めて、それをアレンジして発表しています。
その中でも最も有名なのが、この『人はなんで生きるか』です。
この民話のテーマは、なんのために生きるのかです。

どんな話かというと、ある小国の農民に、
大国の王様が、
「日が沈むまでに歩き回った土地をあげよう」
とおふれを出したというものです。

これは、日が沈むまでに戻ってこれなければ、土地はもらえません。

さっそく挑戦した一人の農民が、日の出と共に、歩き始めます。
少しでも広い土地が欲しいと思って、予定よりもどんどん先に行きます。
そして、昼近くになって右に曲がり、どんどん足を速めて歩いて行きます。
そして、夕方頃になると、もうすっかり走り出しています。

ところが、もうすぐ日が沈んだら、せっかく歩き回った土地が手に入らなくなってしまいます。
猛然とダッシュして、何とか日が沈むと同時に、出発地点に戻ることができました。

しかし農夫は、戻ったと同時に、倒れてそのまま息を引き取ってしまいます。

それを聞いた王様は、
この農夫には、こんなに広い土地は必要なかったのだ。
自分を埋葬するだけの土地があればよかったのだ。
と言ったという話です。

この農夫はなぜ死んだのかというと、
自分の欲望に殺されたのです。
土地の取得に命を費やしたのです。

しかし、私たちも同じではないでしょうか。
人生というのは命の時間です。
時間を使って何かをしているということは、
命を何かと引き換えにしているのです。

時給1000円の仕事を10時間したならば、
10時間の命を10000円で売ったということになります。

そうやって私たちは、命をお金で売って生きているのです。

しかも、もっともっとと欲しがって、
最後は命を使い切ってしまうのです。

キリのない欲望を
キリ有る命で追い求めてその先にあるのは破滅のみです。

あれがほしい、これがほしい、ああしたい、こうしたい、
人間の欲望は真実とは関係なく、
人をものすごい力でだこかへ引きずり出してゆきます。

一体人は何を求めるために、
限りある命をかけるべきか考えて
みなければなりません。

これにかけて悔いなし、といえるもの
それが本当の生きる目的といえるものでしょう。


by sakyamuni | 2019-01-15 12:00 | 生きる意味