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天台宗の僧侶の書き残した人間に生まれたありがたさ

天台宗僧侶で浄土教を開いた
源信僧都が「横川法語」でこのように仰言っています。

まず三悪道を離れて人間に生るること、大なるよろこびなり。
身は賤しくとも畜生に劣らんや、
家は貧しくとも餓鬼に勝るべし、
心に思うことかなわずとも地獄の苦に比ぶべからず。
世の住み憂きは厭うたよりなり。
このゆえに人間に生まれたることを喜ぶべし。

地獄餓鬼畜生というのが、三悪道です。
この三悪道を離れて、人間に生まれたことを喜びなさいよ、
と言われています。

ところがそう言われても、
比べてみないと喜べないので、
比べておられます。

身は卑しくても、畜生には劣らない。

お金が厳しいと言っても、
食べたくても食べられない餓鬼に比べたらずっと幸せではないか。

気に入らない、腹が立つということがあっても、
一度堕ちたら八万劫中大苦悩ひまなく受けねばならない
地獄の苦に比べたら大したことがない。

比べてみなければわからない私たちに、
比べて見せておられる。

この六道の中で、人間に生まれたことを喜ばねばならない、
喜ばずにおれない、もっと大きな理由があります。
実は、六道の中で、人間に生まれた私たちでなければ
絶対にできないことがあります。

人間でなければできないこと、
これ一つをするために人間に生まれてきた、
他の世界に生まれていたら絶対にできない、
ということがあります。

それが実は人間に生まれてきたことを喜ばずにおれない
もっとも大きな理由です。

では、私たちが人間に生まれてきてやら
なければならないたった一つのこととは何かというと、
それが人界受生の本懐、本当の生きる意味です。


by sakyamuni | 2018-05-03 12:00 | 生きる意味