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高校の友達が車にひかれた

来年のカレンダーを準備して21世紀だ、
オレの人生はいよいよだと、
希望に溢れているかも知れないが、
実は21世紀を迎えられない人が必ずいるんだね。

年賀状を出して『今年も宜しくお願いします』
一生懸命書いて投函した人が新年にはもう亡くなっていると言うことがある。
私もそう言う手紙を過去一度貰った。

年賀状を受け取ったときには本人はもういない。
中学時代ブラスバンドをしていた。
私はサックス。
象の鼻みたいな。
友達はパーカッションと言ってドラム。

私が部長、彼がマネージャ。
二人で切り盛りしていた。
だから仲良かった。
高校は別れ別れになって大学に入って
それぞれたまにしか会わなかったが年賀状は出し合っていた。

ところが年末に、クリスマスが終わったちょっと後でした。
同じブラスバンドの友達の女性から電話があった。
『そういえば、こんな電話貰うのは20年ぶり』
『どうしたの?』
『彼死んだよ』
『彼って誰?』
『ほら、…』
友達の名前を言った。
まあびっくりしたね。
『あいつ死んだ?どうして?』
忘年会で酒を飲んで家に帰る途中ついふらっと、
歩道から車道に飛び出してそこを後ろから来た車がはねた。

即死です。
家に電話をしたら奥さんが出て、子供が三人学校に行っている。
バカだなちっちゃな子供三人残して何で死ぬんだ。
本人は死ぬつもりは全くない。

『忘年会に行って来るぞ早めに帰ってくるからな』
といって亡くなった。
奥さんは泣くしかない。
知らずや今日もその日なるらん。
その日が人生最後の日であったか。

じゃあ彼は一体どんな風に御飯食べただろう、
どんな気持ちで洗顔したのだろう。
どんな気持ちで忘年会に行って来るぞという気持ちだったのか。
いよいよこれが最後と覚悟したのか。
まさか。
全く私たちと同じ気持ち。

『行って来るよ』いってまた帰ってくるよそう思って出かけた。
そう思って出かけたはずの人がぽつりぽつりと後生へ突っ込んでいく。
生というのは常に死と隣り合わせなんです。

いつ死がやってくるか分からない。
じゃああなた死んだ後に生まれる世界ハッキリしていますか。
オレは死んだらこうなるということ分かっていますか。
その覚悟はできていますか。

必ずやってくる明日かも知れない。
100年以内には必ずぶち当たらなければ
ならない死について何か分かっていますか。
どうだろう。

全くサッパリ分からないじゃないですか。
そう言えばおれ一体死んだらどうな
るんだろう。
ハッキリしていない。
後生ハッキリしない心がある。
全く分からない。
暗い。

これを後生暗い心、後生ハッキリしない心と言います。
その心じゃあ、今がそう言う心なんです。
死ぬときにハッキリしないのではない。
明日かも知れないのにその死んだ後がどうなるか全く分かっていない。
それでいてみんなのほほんと生きている。

by sakyamuni | 2017-11-04 12:00 | 無常